ナセルとサダト ~承前~

サダトの前任者ナセル大統領は、大義に生きた人物と言えましょう。

「アラブの盟主としてのエジプト」、「反帝国主義の闘士」、「打倒シオニズム」等々。

生前に英雄視されていたのは紛れもない事実です。(死後は知りませんが)


英雄を生む土壌とは何かと考えますと、それは「恨み」だと思います。

ナセルは何一つ公約を実現していません。

その意味では「口舌の輩」と呼んで差し支えないでしょう。

しかも戦争にも弱く、負けてばかりで、沢山の国民を死に追いやりました。


そんなナセルを何故国民は英雄視したのでしょうか。

「恨みを晴らしてくれるかも知れない」、この一点にあったのです。

誰に対する恨みか、当時の政治情勢をみれば、最初は英国、後に米国です。


この世界で最も厄介な物、それは「過去に大国としての栄光を持つ国」です。

エジプトも様々な栄光を持つ国です。

そんな国は、相手に頭を下げることが出来なくなります。

でも、現実には頭を下げねばならない。

そうなると、観念の世界に入り込んでいくのですね、「本来はこうあるべき」。

そしてそれが、身の破滅を生みます。

(続く)
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by dokkyoan | 2008-06-26 00:01