大日本帝国憲法最大の弱点

伊藤博文は本書を著しただけでも、後世に名を残すに値する人物と断言して良かろうと思いますが、その中でひとつだけ大失策をやらかしています。

内容云々ではないのです。

「憲法義解」は、憲法の条文と、その解説部分に分かれていますが、両者には大きな差異があります。

条文が「国家公式文書」なのに対し、解説部分は「伊藤博文個人の覚書(=私的文書)」に過ぎない点です。

そして、条文の簡略さが示すように、憲法の「精神」は条文には存在せず、解説部分にのみ存在します。

つまり、公式文書にその精神が盛り込まれないとすれば、憲法の「解釈権」は国家の手を離れることになります。

解釈権の存在の曖昧さ、これが大日本帝国憲法を葬る原因となりました。

幾ら伊藤博文が偉くて法律に精通していると言っても、それが私的見解に留まる限り、それを超越することは出来ます。

それをやってのけたのは、軍部でもない、財閥でもない、官僚でもない、国民、いや臣民でした。

伊藤は臣民に敗れたのです。

(了)
[PR]
by dokkyoan | 2008-06-12 17:33