資産家とは

「世紀の事業王」(ホルブルック著、常盤新平訳、角川文庫)

先に申しますが、訳がもの凄く拙いです。こんな水準でも翻訳と言う「作品」だと言えた時代があったのかと思うと、感無量です。

下調べもせず、即席で仕上げたらこうなりましたという好例です。

但し、原文の内容が良ければ、訳文が少々拙悪でも、文意が通じることは、カエサルの「ガリア戦記」を讃えた小林秀雄氏を引き合いに出すまでもないと思います。


あらためて読んだ読後感は、「子孫に、或いは後世に資産や遺産を残すことは、大変立派な行為である」と言うことです。

当たり前じゃないかと思われるかもしれません。

ところが、当たり前ではないのです。


西郷隆盛の名言に、「子孫の為に美田を残さず」と言う一句があります。

よく考えて頂きたいのです。

この至言は、その前提として、「子孫の為に美田を残す」習慣が根付いていなければ、成り立たない警句です。

では、当時の日本人は、どうやって「美田を残したか」。

その多くは、節約して残したのです。己の欲望を抑えて未来に託したのです。

(続く)
[PR]
by dokkyoan | 2008-03-26 23:14