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世を毒する言動、空疎な報道・社説・論説等に遠慮仮借なく鉄槌を下します。


by dokkyoan

ロスチャイルド

「ロスチャイルド王国」(新潮選書、フレデリック・モートン著)。


ロスチャイルドと言えば大金持ちの代名詞で、本書もロスチャイルド家が、代を重ねるとともに欧州金融界でのし上がっていく様を描いているのですが、印象に残ったのはそれだけではありません。

まず当時にあって、ユダヤ人に対する抜きがたい差別意識が罷り通っていた事実に、驚きを隠せませんでした。

当時の欧州系ユダヤ人は、その多くが貧民でしたので、彼らに対する差別意識が遍在していたとしても仕方ないのですが、大成功を収めたロスチャイルド家の各員に対し、為政者や名家、有力者が長きにわたって具体的な差別行為を改めませんでした。

億万長者になると言う事は、大袈裟に言えば、ロスチャイルド家にとって「人間としての尊厳」を獲得する戦いでもありました。


そしてもう一点、「ユダヤ人の敵はユダヤ人」なのです。

金融界で成功したロスチャイルド家の前途に立ち塞がった最大の敵は、ユダヤ人でした。


現在のイスラエルをみても明らかなように、ユダヤ人は集団で行動するのを酷く苦手としています。

しばしば、「ユダヤ人の陰謀」なる噂が、世情に流れる時がありますが、それは有り得ません。

彼らは異民族は勿論、同胞の足を引っ張ることにも躊躇しません。

「陰謀」を企てたとしても、それを知った別のユダヤ人がそれを阻止します、間違いなく。


陰謀を語る暇があれば、現実に何を考え、何を行動に移しているのか、それを見極めることの方が、余程頭の体操になります。

(続く)
by dokkyoan | 2008-03-13 20:57