笹本駿二氏

岩波新書には笹本氏の著作がもう一冊収録されています。

「ベルリンの壁 崩れる - 移りゆくヨーロッパー」と題された本作は1990年の作品。

流石に往年の意気は、その文章から感じられないものの、それでも急所を外さない所は、左翼系ジャーナリストとは言え、感心の他に言葉が見当たりません。


氏は、当時の東ドイツを「44年にわたって支配してきた社会主義統一党」を、次の様に激しく断罪しています。

「"公金私有"、"公共財産の私用"、"脱税"その他あらゆる手段を講じて、私服を肥やし、私利を図ってきた」


この一言のみで、読むに値する一冊であることが分かります。


そして、賢明な読者ならお分かりでしょうが、この一文は、一党独裁体制にあるあらゆる国家、勿論、中国や北朝鮮を含む社会主義国家の成れの果ての姿を描写したものです。


特に左翼系ジャーナリストに対し、声を大にして申し上げます。諸兄の先輩、笹本駿二氏の老境時の気概さえ失せているのですか。

氏は1912年生まれで、本著執筆時は80歳にもうすぐ手が届くお年でした。

それでも、左翼であろうがなんであろうが、悪に対してこれだけの咆哮を挙げることが出来たのです。

左翼ジャーナリズムの売り物のひとつが「人権」ならば、この一文から、一党独裁体制の宿阿を即座に見抜き、その下で呻吟する国民の「人権」が如何なる状況にあるのか、世界に発信することが、「社会の木鐸」の使命ではないでしょうか。

それとも、笹本氏の著作に目を通したことがないのでしょうか。不勉強極まりないです。


ある中国共産党幹部の、最近の発言を紹介します。

「銃で獲得した政権だから、政権を倒すなら銃を発砲する覚悟で来い。」

民主的、人民重視の発言とお思いなのですか。

(了)
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by dokkyoan | 2008-02-25 17:51