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世を毒する言動、空疎な報道・社説・論説等に遠慮仮借なく鉄槌を下します。


by dokkyoan

中国とは何か

花粉症で伏せっている間、朦朧とした頭で中国や米国、ついでに北朝鮮のことをつらつらと考えていたのですが、近代化に成功した国々は何らかの形で革命に成功しているのではないか、そういう見方に傾きつつあります。

革命と言っても何も階級の転覆だけが革命ではありません。

国別に考察しますと、米国は独立戦争と言う名の「米国(独立)革命」、英国は名誉革命に至る一連の政治変動(それよりも囲い込み運動が革命の役割を果たしたと思われます)、フランスはご存知フランス革命、ロシアすらロシア革命があります。

日本に至っては元和偃武と明治維新の二度に亘って革命を経験していまして、明治維新の意義も語り尽せないものがありますが、元和偃武もそれに劣らずその功績を高く評価すべきもので、勝者が敗者に対して武装解除しないまま所領を認め、一定の自治すら容認し、何よりも武士の棟梁と言う軍閥の領袖以外の何物でもない者が「天下統一」と「平和」を最優先すると言う、何とも奇妙奇天烈ですが非常に有意義な革命でした。


革命の意義を一言で表現すれば、既得権益の再分配及び開放と中央集権にあります。

ロシア革命があったからこそ、旧ソ連は超大国と世界が見間違う程の「陸の王者」になり得たのですし、ドイツも統一戦争を通じてプロイセンを軸とする中央集権を確立しました。

米国に至っては植民地から近代化と産業革命を経て列強になり得た唯一の国家で、それだけでなく日本と呼応する形で「陸海空三次元の支配者=超大国」へと登りつめる階段を駆け上がり始め、その過程で唯一の超大国の座を巡って日本と干戈を交えました。


明治維新と中国の歴史的諸事件を比較すると分かり易いのですが、明治維新は支配階級たる武士による、武士の既得権益の諸階級への開放であり(だから「四民平等」)、同時に天皇を中心とする中央集権国家の建設がその目的でした。


結論から言えば中国には史上、近代政治用語で言うところの革命が起きたことはありません。

「既得権益の開放」と「中央集権」の観点から判断すれば明々白々です。

辛亥革命でこれらの目標が達成されたか、答えはその後の中国誌が物語っています。

共産中国の建国は、中国共産党を含めた中小利権集団が、最大の敵たる蒋介石を破っただけの話で、これは壮大な逆転劇ながら(だから小誌もその理由が分からず困っています)、あくまで私闘の域を出ません。

強いてプロレタリアート革命と言い得るのが文化大革命ですが、毛沢東による権力の私物化を許すかどうかの争いで、これも革命に値しませんし、仮に革命的な部分があったとしても革命側の敗北に終わったのですから、革命未遂に過ぎません。


近代への渡り廊下である革命を経ていない以上、近代にはたどり着けません。

それどころか阿片戦争から文革終結に至るまで、国力は急勾配の下り坂を転げ続けました。

この間が小誌が申すところの「退化」の期間で、日本の鎖国でさえ、競争原理を否定した負の側面が幕末に表面化し、列強に後れを取ることになりましたが、日本は搾取されませんでした。

それに対し1840年(阿片戦争)から1980年前後(文革終息)まで、列強に搾取されたうえに統治能力を失い、群雄割拠と内紛で体力を使い果たしたのは中国の真の姿です。

(続く)
by dokkyoan | 2012-04-19 22:44