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by dokkyoan

米国の反英感情

国際関係を考えるうえで、米英関係より複雑怪奇なものは無いでしょう。

外交とは、片手で握手しながら空いた方の手で殴り合いするようなものなのは、重々承知のうえで申さば、主従関係を伴う同盟国に対してはそんなことをする必要がなく、つまりは米国独立後今に至るまで、「主従関係を伴う同盟関係」を互いに拒否してきたと言えます。

日英同盟も「主従関係を伴う同盟関係」ですが、この関係で意外と苦心を強いられたのは大英帝国の方に思われてなりません。

日露戦争を日本の引き分け以上に持って行く、出来れば僅差でも良いから帝政ロシアに土をつけてその鼻っ柱をへし折るのにどれだけ腐心したか、当時の大英帝国の外交能力は他の列強をも抜きん出ていました。

その大英帝国に建国時から嫌悪感を抱いていたのが米国で、そもそも「独立」と言う名の喧嘩別れが米国史の第一章であり、現実は兎も角、「英国に追随するのは野蛮人に屈する様なもの」と言う、一種の潔癖なまでの反英感情が、米国をして通常の列強とは異なる行動に至らしめます。

列強みたいに、中国利権を心底満足したいのに、「阿片を押し付けて侵略するなど言語道断、英国と同じ道を選択するのは国民的心情から言っても許されない」と言う訳で、門戸開放政策と称する「米国型帝国主義路線」を打ち出しました。


過去にもご指摘を受けましたが、ロスチャイルドの反米感情は凄まじいものがあり、中国を巡っての米英決戦の一端がスメドレーの活躍でしょうが、日露戦争直後に「鉄道王」ハリマン(米国系ユダヤ人だそうです)が南満州鉄道の共同経営を打診したのは、ある意味で巧妙な離間策と言えます。

桂太郎がこの提案に乗り気だった理由も分かりますが、唯一の同盟国は大英帝国なのですから、瞬時に蹴飛ばすか、少なくとも大英帝国に伝えるか、或いは英国系鉄道会社との共同経営を考慮するかのいずれかでなければならず、陸奥宗光に比べれば凡庸に過ぎない小村寿太郎が一蹴したのも当然です。

桂太郎が政治家としての資質を欠いていることは、この一件でも明々白々で、ご主人様(=大英帝国)に断りもなく話を進めたら、大英帝国が疑心暗鬼になることは馬鹿でも分かりますし、列強最大手の大英帝国を怒らせて何の特があるのか、贅言を要しますまい。


そして日本だけが気付いていませんが、中国を巡る米英大決戦は今も続いています。

(続く)
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by dokkyoan | 2012-01-10 23:58