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世を毒する言動、空疎な報道・社説・論説等に遠慮仮借なく鉄槌を下します。


by dokkyoan
トランプ候補の選挙戦術をみていると、織田信長を想起してしまうのは小誌だけでしょうか。

無い無い尽くしだったからこそ、農家の次男坊以下の「食い詰め者」や、足軽以下の身分の低い者に武器を与えて戦力にしたのが信長です。

一般に米国の共和党の支持基盤は、主流派(ジェフ・ブッシュ)、キリスト教右派(クルーズ)、リバタリアン(自由至上主義者、ロン・ポール)、それにティー・パーティ(小さな政府派、ルビオ)に大別されますが、いずれも大勢を占めるに至らず、加えてそれぞれ相容れない部分があります。

要は、支持基盤と言う既得権益に乗っかっているので、いずれの候補者も全体を纏めることが出来ないのです。


トランプ氏の支持基盤は違います。

プア・ホワイト(白人系低所得者層)とプア・ヒスパニック(中南米系貧困層)の票の掘り起こしに成功したのです。

労働者も気付いています、労働組合が働く者の擁護者ではなく、一部の「労働貴族」と「公務員貴族」と言う、「楽して生涯の収入が保障されている連中」の打ち出の小槌になっていることを。

ヒスパニックも分かっています、己が次の安価な労働力に取って代わられるまでのパート・タイマーであることを。

何で格差が拡大するのか、何で失業せねばならないのか、どうして不法就労が理由で首切りに怯えなければならないのか、民主党も含め誰も回答を与えてくれません。

金持ち(主流派)も神様(キリスト教右派)も自由の女神(リバタリアン)も減税(茶会派)も、この肝心な部分には知らんぷり、ところがトランプ氏は違います。

プア・ホワイトとプア・ヒスパニックの切実な願いに明快な答えを提示したのです。

自分が金持ちだから、政治献金は受け付けない、だから富裕層の傀儡にならないと断言し、不法移民のこれ以上の流入を完封することで、ヒスパニックに安堵感を与えています。


ただ、かねてより言及しています通り、副大統領候補を誰にするかが、この爺さんにとっての最大の問題、ですが共和党の首脳陣と密談することは自殺行為です。

党内の派閥と折り合いをつけても、同候補に対する期待感が凋むだけ、ここはやはり奇手を繰り出して、妥協も譲歩もしない姿勢をみせねばなりません。

ではそんな願いを叶えてくれる人物がいるのか、います。


他ならぬトランプ氏の娘、イヴァンカさんです。

まず超の付く才色兼備、子供ですから、すり合わせも妥協も不要、結婚を機にユダヤ教に改宗していますが、ここを何とかすれば勝てます。

灯台下暗しとはこんなことを言うのでしょうか。

(続く)



# by dokkyoan | 2016-03-23 23:19
例えば、国会議員や地方議員を問わず、自民党員であれば総裁(≒総理)に求めることは、「勝たせてくれる人物かどうか」です。

今の安倍総理の安泰なのも、国政選挙であれ地方選挙であれ、総じて選挙に強いから、己の人生が掛かっていますから、その点に関しては党員も辛口で敏感です。

有体に言えば、安倍政権を評価していると言うより、「民主党政権の悪夢」を繰り返したくないと言うのが国民の総意です。

そして事情は米国でも同じです。


米国では2年に一度、選挙と言う「お祭り」があります、4で割り切れる数字の年(2016年がまさにその年)の「大統領選挙」と、2でしか割り切れない年(最近では2014年、次は2018年)に実施される「中間選挙」です。

ただ「大統領選挙」と言っても、国家元首(任期4年)を選ぶだけでなく、上院(任期6年、定員各州2名×50州=100名、2年毎に凡そ3分の1改選)、下院(任期2年、定員435名)、そして州知事(15州程度)が選挙の洗礼を受けます。

これに対し、「中間選挙」では大統領こそ行われないものの、上院(3分の1前後)、下院(全員)、州知事(約35州)が改選されます。

ですから選挙の年毎に、立候補する身の上(上院、下院、州知事)としては、特に大統領選挙の際には「他人を勝たせる候補」であることが求められます。

オバマ大統領は「自分の選挙には強いが、他人の選挙に弱い」典型例、2008年こそ自身の当選を含め、上下両院を与党民主党が制することに成功しましたが、2010年の中間選挙で早くも下院を野党共和党に奪回され、2012年は再選を果たすものの、上下両院に大きな変動は無く、2014年では上院で大敗し過半数を失う結果となりました。

州知事も2014年時点で共和党が31州を確保していますが、米国では州知事の権限は強く、例えば国勢調査に基づき連邦下院の選挙区を決めるのは知事です。

そこで予備選挙の意義ですが、上下両院及び州知事立候補者からすれば、票の出方が気にかかるのは当然、そして「自分の選挙も他人の選挙にも弱い」ヒラリー候補を擁する民主党の予備選や党員集会は盛り上がりに欠けます。

これに対し、トランプ氏が旋風を起こしている共和党では投票数が激増、それらを立候補者は凝視しているのです。

しかもトランプ氏への支持は極めて強く、仮に共和党幹部が策を凝らして同氏を排除した場合、支持者が抜け落ちることは確実、その怒りが上下両院及び州知事立候補者に向かうのは想像に難くありません。

トランプ氏の課題は、副大統領候補の選任、民主党の地盤を崩すなら北部に強いケーシック氏ですが、還暦を過ぎていますので魅力がありません。

共和党の支持母体は、所謂「主流派」、キリスト教右派、リバタリアン(自由至上主義者)、茶会派(=小さな政府志向)に大別されますが、いずれも帯に短し襷に長し、対してトランプ氏はサイレント・マジョリティ(声なき大衆)を支持基盤としています。

これからが見物です。

(続く)

# by dokkyoan | 2016-03-22 22:59
あくまでの公式発表(=大本営発表)ですが、中国のGDP(国内総生産、ドル建て)は日本の2倍の規模に達しました。

ただ、人口は日本の十倍ですから、一人当たりのGDPは二割に留まります。

にもかかわらず、中国人は来日して「爆買い」をします。

例えば、ミャンマーの来日観光客は、鎌倉の大仏でお土産を買うそうですが、そこには「渡した友人が同じ様に日本に来れます様に」と言う願いが込められているとのことで、誠に微笑ましいと共に、ミャンマーの生活水準からも妥当な贈り物です。

では何故、中国人だけ「爆買い」をするのか(出来るのか)。

まず、「富の再分配」が作用せず、特定の人間集団に富が集中している現実が挙げられます。

次に、「日本に行かなければ日本製品が入手出来ない」中国の実状があります。

中国産鰻を輸入するのに、一般の日本人は中国まで足を運びません。

商社が全て代行してくれます。

ですが、中国では他人任せにすると「横抜き」されて終わりで、紛い物をつかまされるのが落ちです。

それともう一つ、親族友人から金を借りてまで来日して大量購入する訳として、転売して一儲けと言う魂胆があります。

そのため、爆買いは無くなりません、需要が無くなることはありません、「軍資金」が途絶えない限り。

換言すると、資金繰りの収拾がつかなくなれば、爆買いは消滅します。

(続く)

# by dokkyoan | 2016-03-22 00:34

承前

遂にブラジルは、議会が大統領の弾劾を協議するところにまで至りました。

前大統領を救うべく、その人物を閣僚に任命し、不逮捕特権を与えると言う姑息な手段を用いては、国民の怒りも収まる筈がありません。


欧州は難民移民問題で自ら泥沼にはまった模様、小国マケドニアがギリシャ国境を封鎖し、難民がそれを突破すると言う事態が出現しています。

先日の地方選挙で極右政党の台頭を許したメルケル独首相とすれば、来年の総選挙までに何とかして国民を宥める必要がありますが、それまでにテロでも起これば目論見も画餅に帰してしまいます。

一方、プーチン露大統領がシリアからの撤兵を命令、やけに物分りが良いなと思うのは大間違いで、直前に米露首脳は電話で意見交換しています。

それを受けての発表ですから、オバマ大統領から相応の譲歩を引き出している筈で、では何を認めさせたかと言えば、「対露経済制裁の(実質的)形骸化」、「主要国サミットへのロシアの復帰」、「オバマ政権の責任においての原油価格持ち上げ」のいずれか乃至その全て、オバマ氏が横槍を入れた「安倍総理訪露」も甘受させていると思われます。

オバマ大統領は、プーチン氏の様な外交巧者にとっては子供の様なもの、「シリア空爆の一時的中断」なんて何時でも破約出来ますし、経済制裁は解除したら最後、簡単に再開出来る代物ではありません。

サミットへの復帰も同様、原油価格などオバマ政権が維持出来る代物ではなく、次回OPEC総会(おそらく6月)前後には再び値下がりする可能性が否定出来ません。

それにしても、オバマ氏の稚拙外交はその他の主要国にとって干天の慈雨にも似たものがありますが、米国内における大統領の存在は「疫病神」そのものです。

「米国史上最悪の大統領」の烙印を押されている(世論調査の結果、堂々の首位)うえに、内政外交で失策続きですから、全米有権者は愛想を尽かしています。

それでもヒラリー候補支持を明言したり、野党共和党に嫌味を言っていますが全部逆効果、女史からすれば大統領発言は有難迷惑以外の何物でもなく、共和党は好感度が上がるので大歓迎です。


第二次世界大戦の終結以降、英国は数少ない例外を除いて「やられっぱなし」でした。

イランではモザデグ革命(1951年~1952年)の過程で石油権益を米国に奪取され、スエズ動乱(1956年~1957年)では軍事的には優勢を保ちながら、ソ連の恫喝を受けてエジプトから撤退、この時、米国(アイゼンハワー大統領)は英仏を見殺しにしています。

インドも1948年に独立(東西パキスタンが分離)、スエズ運河の国有化と相俟って、英国は少なくとも表向き、スエズ以西に退くことを余儀なくされます。

ですが、殴られて黙っていないのがかつての大英帝国、反撃が始まりますが、その起点はシンガポールと香港、それに上海です。

(続く)

# by dokkyoan | 2016-03-18 23:17

話を戻して

冒頭からあと少し道草しますが、南米の大国ブラジルがとんでもないことになっています。

百万人単位で抗議デモが発生し、国会では大統領弾劾の手続きが始まり(与党多数にもかかわらず)、院政を敷く前大統領に司直の手が及びつつあります。

格付機関ムーディーズも匙を投げて(と言うか率先して)ブラジルを格下げ、それ以前に同国国債は投資適格ではありませんが止めを刺しています。

ジカ熱なる伝染病も現地で流行していますし、8月5日からのリオ五輪はテレビ観戦が正解と思われます。


久々に話を第二次世界大戦終結直後に戻しますが、この時点で世界を動かし得るのは米ソ英の三国だけでした。

ただ、事情は各国によって異なり、米国が「元気満々」ならば、ソ連は「軍事力突出」、英国に至っては「疲労困憊」でした。

しかも国際情勢は米ソに圧倒的有利でした。

加えて、これは米国の悪い癖ですが、「戦争が終わったら、状況を鑑みずに至急撤退する」、これも情勢を一変させるに十分な要因です。

地域別に考察しますと次の様になります。


日本:米国が実質的に全面占領

朝鮮半島:不凍港を求めるソ連と、日本を起点に中国本土実効支配の中継地点を確保したい米国の思惑が一致し分割統治

中国:「絶対権力者」大日本帝国軍が消滅し、権力の空白が発生。蒋介石「親米」国民党政権が最有力勢力に躍り出る。この時点で中国共産党は泡沫。欧州に注力したいソ連は蒋介石と手打ち。

エルベ川以東(東欧):ソ連の実質占領下に。

エルベ川以西(西欧):米国がさっさと撤兵したために軍事面で空白地帯に。ド・ゴールのみが徒手空拳でソ連に「口先対抗」。

イラン(中東):イギリスとソ連の勢力が拮抗。

インド(今のバングラデシュ、パキスタンを含む):大英帝国の植民地なるも、単独で維持する余力無し。


このままでは大英帝国が総崩れになります。

(続く)

# by dokkyoan | 2016-03-15 21:59